第9章 甘い嘘●
「…んっ…ぅん。」
何度も何度も唇を絡めた。
今、私はこうして佐久間さんと一つに繋がっている。
そう思うだけで、胸の奥がきつく締め付けられた。
その感情は秘部の快感へと変わり、どこまでも佐久間さんに溺れていたくなる。
前戯の無いセックス。
味気ない物だと思っていた。
しかし、今日の私達は特別だ。
言葉を交わすより、唇を重ねたい。
手を繋いで眠るより、激しく求め合った後に疲れて眠りたい。
“どうして嘘をついていたんですか?”
そう聞く事も出来たが、そんな事はもうどうでもよくなってしまった。
いっそ曖昧なままでも良いとすら思う。
佐久間さんが嘘をついていた事よりも、今こうして愛し合う事が私にとっては大切だった。
愛し合うこの時間だけは…この瞬間だけは紛れもない“事実”だからだ。
汗ばむ胸。
ドクドクと鼓動は早まるばかり。
弾むベッドと佐久間さんの身体に挟まれ、逃げ場は無い。
感情を高ぶらせる。
すでに絶頂は越えていた。
肌のぶつかり合う乾いた音。
佐久間さんの表情が快感に歪んでいくのが分かった。