第9章 甘い嘘●
「ドラマのエンディング曲でInsomniaを聴いて素敵だなと思ったんです。」
「って事は“まだこれから”って事?」
「…“まだこれから”ですか?」
「そう。これからアイヴィーの全てに出会えるなんてうらやましいな!!」
「そうでしょ?ユカちゃん。
こらから“あんな作品”“こんな作品”に出会えるなんてうらやましいよね!!」
二人は目を輝かせながら微笑み合う。
そんなにもアイヴィーの音楽とは奥が深い物なのだろうか。
“あんな作品”“こんな作品”とは一体何の事か。
知りたいようで…少しだけ怖い。
そんな不思議な心境だ。
「ねぇ、ユカちゃん。
まずは1stアルバムから聴いてもらった方が良いと思う?」
「待って待って。慌てないで。
1stはマニアックだから、まずベストアルバムで少し免疫をつけてもらって…」
「でもアイヴィーの楽曲はオリジナルアルバムで聴くからこそ“映える”と思うの。
それぞれのアルバムにストーリー性があって面白いじゃない?」
「それは聴き込んだうちらにだから分かる事であって、橘先生にはまだ未知の世界じゃん?」