第9章 甘い嘘●
「えっ!?アイヴィー!?」
パソコンの画面をのぞくなり、愛美先生はそう大きな声で叫んだ。
その声に驚き、私は思わず固まってしまう。
キラキラと輝く愛美先生の瞳。
その瞳は今まで私が見てきた愛美先生とはどこか様子が違って見えた。
「ちょっと!!橘先生もファンなの!?」
「…え?」
「もっと早く言ってよ!!
私、中学生の頃からファンなんだから!!
ちょっと貸して!!」
愛美先生は私からマウスを奪い取ると、何かを検索し初めた。
動画配信サイト…という物だろうか。
普段その類いの物を一切観た事はなかったが、時々“彼女”が昼休みにパンを頬張りながら観ていたような気がする。
愛美先生は検索バーに素早く『the IVY』と入力する。
一体何を探しているのだろう。
検索結果の動画一覧がずらりと並ぶ。
当然だが、どれも高杉さんの顔が映っている。
気まずさから顔を背けてしまったが、愛美先生はその中から一つの動画を再生し始めた。