第6章 距離感
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朝、目を覚ますと私達の間にはコロが眠っていた。
身体を丸くし、毛布の上でスウスウと気持ち良さそうに寝息を立てている。
横を見ると、佐久間さんがこちらを向いて眠っていた。
顔半分を毛布に隠し、何とも気持ち良さそうな寝顔だ。
昨日よりも距離が近い佐久間さんに、胸が高鳴る。
それと同時にある違和感に気が付いた。
毛布の中、指を絡めるように繋がれた手。
私から無意識に繋いだのだろうか。
それとも、意識的に佐久間さんが繋いだのだろうか。
まるで恋人同士かのように、私達は手を繋いだまま眠っていたようだ。
何て愛おしいのだろう。
このままずっと眠り続けていたい。
そんな事さえ思わせる。
しかし、今日も仕事へ行かなくてはならない。
「おはようございます…佐久間さん。」
そうつぶやき、繋いだ手をそっと握った。
【距離感】おわり