第6章 距離感
しかし、私がこのドラマに惹かれる理由はもう一つあった。
ドラマのエンディングで流れる曲。
医療ドラマとはミスマッチな抽象的な歌詞の静かなロック。
その曲に、私はどこか胸の高鳴りのようなものを感じていた。
ドラマが終わり、今日も曲が流れる。
独特な歌声。
その心地好さに思わず瞳を閉じる。
一体誰が歌っているのだろう。
普段テレビを観る習慣が無かった私は、もちろん音楽にもうとい。
明日…彼女に聞いてみよう。
小松加奈。
彼女もこのドラマを観ていると言っていた。
昼間の疲れからか、心地好い眠気に襲われる。
早く帰らなければ。
そう思うが身体は動きたくないと言っているかのようだ。
少しだけ…
5分だけ眠ろう。
そう思い、コロを膝に乗せたままソファーの背もたれに身体を預けた。