第5章 条件
佐久間さんが私に提示した条件は二つだ。
一つは佐久間さんが忙しく帰りが遅くなる日や出張で家を空ける日には、私が子猫の世話をしに佐久間さんの家へ行く事。
もう一つは、時々は佐久間さんの家に行き、食事を作る事…。
“条件”というほどのものでもない。
子猫を預かってもらうのだ。
そのくらいはやって当然だと思う。
それどころか、今まで謎だった佐久間さんの生活に少しではあるが関わる事が出来る。
正直、佐久間さんの家に行く権利を得たのだから嬉しくてたまらない。
これを機に少しでも佐久間さんに近付きたい…そう思うのはあざとい女だろうか。
子猫を拾ったあの日、佐久間さんは冷蔵庫に入っていた作り置きのおかずを美味しそうに食べてくれた。
連絡先を交換し、「何かあったら電話するね。」と子猫を抱えて帰って行った。
それから2日…。
そろそろ私から連絡をしてみようか。
佐久間さんに会いたいという理由もあるが、もちろん子猫の様子も気になった。