第2章 何でそんなに可愛いんだ
「秋也っ…!」
ふいに、桃浜がオレの下の名前を叫んだ。オレの動きが一瞬だけ止まる。
「秋也…!秋也………!」
シーツに顔を埋め、涙声でオレの名前を口にする桃浜。オレの体が、またカッと熱くなった。
「有…!」
オレも桃浜の名前を呼んで、彼女の体を何度も突き刺した。
桃浜は、普段名前で呼ぶことを許してくれない。名前呼びが癖になって、会社で口を滑らせたらイヤだと言うのだ。
彼女がオレの名前を呼んでくれるのは、こうして、見栄も外聞も何もかも忘れて、乱れきった時だけだった。
「秋也…んっう!う゛、あぅ、うぅん!」
「有、ヤバい、それ、呼ぶのズルい。オレ…出そう」
「ま、え…。まえ、が、い…。秋也…!ギュって、して…!」
オレは繋がったまま有の体を持ち上げると、仰向けにひっくり返し、その体の上に覆いかぶさった。胸と胸をくっつけるように身体を合わせると、彼女も腕を伸ばしオレの背中にしがみつく。有の指にギュウと力がこもる。少し痛い気がするが、有のくれる痛みなら心地よい。彼女がオレの体を求めて、頼って、必死になってくれている。それ以上に大切なことがあるか。