第12章 第8章 美しい人の三日月sideです
「やば〜い!お兄さん、超イケメン!!」
「モデルさん?すごい綺麗!!」
「お兄さん、私と遊ぼうよ!!」
「これは…参ったな」
「困った顔も可愛い!!」
「写真だけでも撮らせて〜!!」
今日はあるじとでーととやらだと張り切ったものの、
いざ現世へ来てみると女子に囲まれてしまった。
せっかく現世まで出てこれたのになぁ…
ふむ…どうしたものか。
主を探すと思いの外近くにいた。
心配そうにこちらを伺っているその様子は、
いつもと変わらず愛らしい。
はやくでーととやらを満喫したいものだ。
「すまぬな。
俺にはもう心に決めた相手がいるのでな。」
そう言って女子達をかきわけ、
主の元へ急ぐ。
「アリス、待たせてしまってすまない。
それでは行こうか。」
アリス。
初めて主を名前で呼んだ瞬間だった。
胸がすっと温かくなるのを感じる。
繋いだ手から感じる温かさも、
何もかもが初めてのものであった。