第11章 隠れて泣いちゃいました
歌仙兼定ver
「主、失礼するよ」
その声にはっとする。
泣いてるところを見られたくなくて、
急いで袖で涙を拭う。
「主、お茶と菓子を持って来たんだ」
お菓子…?
もうそんな時間だったんだ…
声が震えないように静かに息を整える。
『ありがとう、歌仙。』
いつもみたいに、
お茶の話やお菓子の説明をしてくれると思ったが
歌仙からは何の返事も返ってこない。
歌仙…?
「主、何があったんだい」
少しの沈黙の後、
かけられた言葉にドキッとする。
『やだなぁ、歌仙。別に何もないよ?
いつもみたいにお菓子の話聞かせてよ。』
「初期刀である僕の目は誤魔化せないよ。」
顔を見なくてもわかる。
歌仙のはっきりとした強い口調に、
心臓がうるさい。
こういう時、歌仙は頑として譲らない。
………