第9章 SweetTime
新しいお茶にしてみたが、
主は気に入ってくださるだろうか…
そんなことを考えながら、
主の部屋の襖越しに声をかける。
「主、お茶とお菓子を持ってまいりました。」
主は、おやつの時間というものが大好きだ。
きっと今日も、
幸せそうに召し上がるのだろう。
はやく、あの笑顔がみたいものだ。
「主、開けますよ。」
襖を開けると、
主は机に伏せて寝ていた。
「主、風邪をひきますよ。」
まったく、しょうがない方だ。
不意に華奢な背中に目が止まる。
あぁ、なんと儚いのだろう。
主…俺だけのものになってしまえばいいのに。
二人きりという状況に、
よからぬ欲望が沸き起こってくる。
主に触れたい。
「アリス…」
白い頬に、そっと手を添える。
「貴女がいけないのですよ。」
少しの罪悪感では、もう止められない。
桃色の唇に、静かに口づけた。