第4章 演練 一人目。
『す、すみません!!
変なこと聞いちゃいましたよね…』
「いえ。気にしないでください。
あの…アリスさんは、いないんですか?」
『いませんね…』
「好きな男士はいないんですか?」
『みんな好きです。
でも、恋愛対象ではないです。』
「そうなんですか」
『それに…
私を恋愛対象として好いてくれている男士はいないと思います。』
自分で言って悲しくなる。
でもこれは本当だと思う。
だって刀剣男士の誰にも告白されたことないもの!!
「そんなこと、ないと思います。
きっとみんなが貴方のことを大切に思っているのではないでしょうか。
アリスさんの霊力は、
とてもあたたかくてやさしくて…
霊力はその人自身を表すものだと言う人もいます。
私もそう思います。」
『ありがとうございます。
そんな風に言ってもらえたの、
初めてで…とても嬉しかったです。
あ…演練、終わったみたいですね。』
「そうみたいですね。
今日はありがとうございました。」
『こちらこそ、
色々とありがとうございました。』
そう言ってお互いに礼をして、
二度目の握手を交わす。
ふんわりとあまくてやさしい力が
私を一瞬だけ包んでくれる。
演練も悪くないかな。