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*トライアングル*【R18】

第8章 越えた一線





(ハァ……なんか緊張してきちゃった…)


私は今、リアンくんの住むマンションの前にいる。
彼はちゃんと会って話をしてくれるだろうか…
二階堂さんは、「相沢様になら会って下さると思います」なんて言っていたけれど…


私はエントランスに足を踏み入れ、コンシェルジュの人に会釈した後彼の部屋番号を押した。


『…はい』

「っ…、リアンくん?…私……桜子です」

恐らく私の姿はモニターに写っているだろうが、一応名乗っておく。
一瞬間があった後、彼は驚いたような声を出した。


『アンタ……なんで…』

「突然ごめん…。リアンくんに話が…」

『…帰って』

「……え…?」

全てを言い終わる前にそう言われる。
予想外の返答に、私は思わず言葉を失ってしまった。

(帰ってって…)


『…悪いけどアンタには会えない……すぐに帰ってくれ』

「……、」

何よそれ…
確かにアポ無しで来た私も悪いけど、そんな言い方しなくたって…

(やっぱりもう…私の事なんてどうでもいいんだ…)


「…解った……もうリアンくんには会わない…」

『っ…、おい…ちょっと待っ…』

「さよなら……可愛い彼女と末永くお幸せに」

『…は?何言って……』

今度は何故か焦った様子の彼に精一杯の嫌味を言って私はマンションを出た。



(…私って嫌な性格)

本当はあんな事を言うつもりで来た訳じゃなかったのに…
でも悪いのはリアンくんの方だ。
突然音信不通になったかと思えば、「もう会えない」なんて…


(二階堂さんに謝らなくちゃ…)

せっかく私を頼りにして連絡をくれたのに、何の力にもなれなかった。
話をするどころか会ってももらえないなんて…

彼に謝罪の電話をする為、歩きながらバッグの中を探る。
そして取り出した携帯から二階堂さんの番号を呼び出した。


『…はい、二階堂でございます』

「っ…」

ワンコールで電話に出た彼に驚き、一瞬言葉を詰まらせる。
私は一度深呼吸した後、リアンくんとのやり取りを彼に報告した。



『まさかそんな…リアン様が……』

「ご期待に添えなくてすみません…」

『いえ、どうか謝らないで下さい。きっとリアン様には何か深い事情が…』

「もういいんです。二階堂さんには申し訳ないんですが……私、彼とはもう会いません」



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