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*トライアングル*【R18】

第23章 甘え上手な恋人





(…今何時だろ……)

窓の外はすっかり暗い。
リアンくんが帰ってきたのがすでに午後6時頃だったから、結構いい時間になっていそうだ。
私はひとまずシャワーを借りるべく、彼を起こさないようにそっとベッドを下りようとした……けれど。


「…どこ行くの?」

「っ…」

咎めるような声が聞こえた直後、背後から腰の辺りに伸びてきた彼の両腕。
どうやら起こしてしまったらしい。


「お、起こしちゃってごめん……シャワー借りようかと思って…」

「…まだここにいろよ」

「きゃっ…」

起き上がった彼が私の体を引き寄せる。
そしてそのままぎゅうっと抱き締めてきた。


「…体平気?」

「……、」

「…無理させて悪かった」

ぼそぼそと私の耳元で呟く彼。
確かに今日はいつもより強引にされてしまったが、珍しくしおらしいその態度に頬を綻ばせる。
彼とは久しぶりに体を重ねたのだ……今日くらいは…


「なぁ…アンタに渡したい物がある」

「…え……?」

私を片腕で抱き締めたまま、リアンくんはベッドサイドにあるキャビネットに手を伸ばした。
その引き出しから何かを取り出し、私の手に握らせてくる。


「……、鍵…?」

握らされたのは、いわゆるディンプルキーといわれる物。
これってもしかして…


「…この部屋の鍵」

「……、」

それはつまり合鍵って事だよね…?


「い、いいの…?」

「ああ……ホントは結構前に作ってたけど、なかなか渡すタイミング無かったから」

「………」

(どうしよう……嬉しい…)

合鍵を貰うなんて人生で初めてだ。
何だかすごく照れ臭くもある。


「…いつでも勝手に来ていいから」

「…リアンくん……」

「…つーか来て」

照れ臭いのは彼も同じなのか、その顔は少しだけ赤い。
その様子につい笑みを零すと、「…何笑ってんだよ」と咎められた。


「ふふっ…ごめん。なんかリアンくんが可愛くて」

「………」

正直にそう告げれば、不服そうな顔の彼。
ぼすんっと再び私をベッドに押し倒してくる。


「ちょっ…、なに…」

「俺の事笑った罰」

「…え……」

「…まだ出来るよな?」

「…!」



こうして私は、この瞬間からまた朝までの記憶を失くすのだった…



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