第16章 ゲームとお仕置き
*side リアン*
(疲れた…)
レポートを書き終えた俺はベッドに横たわった。
枕元にあったスマホを手に取り彼女の番号を呼び出す。
お互いあまり電話を掛ける事はないが、今日は何故か無性に声が聞きたくて…
(…出ねーし)
時刻は21時…寝るにはまだ早い時間だと思うのだが。
風呂にでも入っているのだろうか?
そう思いながら仕方なく電話を切ろうとした時、コールが鳴り止み向こうが電話を取ったのだと理解した。
「…もしもし」
『…リアンか』
「…!」
『彼女じゃなくて残念だったな』
聞こえてきたのは彼女の声ではなく、よく知っている男のもので。
「なんで兄貴が…」
『彼女なら隣でぐっすり眠っているよ…少し無理をさせてしまったかな』
「なっ…」
『…冗談だ。まだ手は出してない』
「………」
一体どうなってる?
何故彼女が兄貴なんかと…
怒りと興奮で震えそうになる声を何とか抑え冷静になる。
「…なんでアンタが彼女といるんだよ」
『ああ…今日彼女を食事に誘ったんだ。やっぱりお前には話していなかったか』
「………」
『でも彼女を責めないでくれ。私が無理矢理誘ったんだからな』
無理矢理誘われたからといって、彼女がのこのこそんな誘いに乗るとは思えない。
絶対何か裏があるはずだ。
『彼女…本当に健気な子だね』
「…?」
『私の誘いを断ったら、お前たち2人の関係を父にバラされると思ったらしい。彼女が誘いを受けてくれたのはそれが理由だよ』
「ハッ、アンタの事だ…どうせそうなるように仕向けたんだろ?」
『…それはどうかな』
兄貴は昔からそうだ…人の気持ちを操るのが上手い。
特に彼女のような人が良い人間は簡単に騙されてしまうだろう。
「…今どこにいる?彼女に何かしたら許さねーから」
『お前がそんな事を言うなんて珍しいな。今までの遊びの女とは違って、彼女はやはり本気という訳か』
「…だったら何だよ。アンタには関係ないだろ」
『確かに…私はお前の恋愛なんかに興味は無い。ただ…』
「…ただ?」
『彼女には少し興味がある。この体も十分魅力的だしな』
「…おい…いい加減に……」
『ひとつ…ゲームをしてみないか?』
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