第11章 お家デート
力強い眼差しを向けてくるリアンくんにドキリとしてしまう。
その顔がゆっくり近付いてきて、私は自然と目を閉じた。
「ん…、」
チュッと触れるだけのキス。
すぐに唇を離されたかと思えば不意に両脚を抱えられ、彼の膝の上に座らされる。
そしてまた、どちらからともなくキスをした。
今度は深く、長く…
「はっ、ん…」
ぬるぬると擦れ合う互いの舌。
彼とのキスは本当に気持ちが良くて、いつも理性が飛びそうになってしまう。
私は彼の髪に指を絡ませながら、「もっと」と強請るように唇を貪った。
「…あんま可愛い事すんなって」
「……、」
「今日はキスしかしないって決めてたのに…我慢出来なくなるだろ?」
唇を離した彼がそう言って苦笑いする。
…正直意外だった。
私はてっきりキス以上の事もされるんじゃないかと思っていたから…
(…って、別に期待してた訳じゃないけど)
「…何だかんだ、アンタまだ戸惑ってるみたいだし……アンタを抱くのはまた今度でもいいかと思ってさ」
「…リアンくん……」
「まぁアンタがシたいって言うなら、俺はいつでも大歓迎だけどな」
「だ、誰もそんな事言ってない!」
そう焦る私を彼が抱き締めてくる。
いつもは生意気で意地悪な事を言ってくる彼だが、そこまで私の事を考えてくれているんだと思うと本当に嬉しくて。
私も彼の体を抱き締め返し、その耳元で「ありがと」と小さく囁いた…
「…ったく、夜になってもこの暑さかよ」
帰り道…隣を歩くリアンくんがそうぼやく。
どうやら彼は夏が苦手らしい。
「アンタは夏好きなの?」
「私も暑いのはちょっと苦手かな…。季節で言ったら秋が一番好き。紅葉を見ながら温泉とか憧れるよね」
「ふーん……年寄りくさ」
「ちょっ…、そんな言い方しなくても」
彼とそんなやり取りをしているうち、あっと言う間にアパートに到着した。
「送ってくれてありがとう……って、わっ…」
不意に腕を引かれ力強く抱き締められる。
「…帰したくねぇ」
「……、」
「…なんてな。今度はキスだけじゃ済まさないから、俺好みの下着でも用意しとけよ?」
「っ…、ばか!」
セクハラ紛いの発言をした後、彼は私に触れるだけのキスをして帰っていった…
(やっぱり意地悪…)
*