第6章 スカーレット
学校近くの手芸店へやって来たが自分が提案した
"スカーレット"の色をした布地が見つからず
少し遠出して駅前の大きな手芸店までやって来た
『おお!流石大きいだけあってたくさんあるね』
黒「そうだなこんだけありゃ"スカーレット"もあるだろ」
『そうだ!ついでに糸も買って帰ろう!?』
布を人数分切り分けてもらっている間に糸を見に行く
途中でなぜか手芸店に似つかわしくない
ウイッグを発見して被ってみた
『鉄朗~見て見て茶髪、似合う?』
黒「似合うがお前は綺麗な黒髪が一番だな」
『あ、ありがとう//』
ストレートな褒め言葉に頬を染めながらウイッグを外そうと
頭に手を持って行った時後ろから騒がしい声が聞こえた
?「Σああー!!黒尾じゃんこんなとこで何してんだ!!」
黒「ゲッ、木兎!」
な、なななんで!アンタこそ何でここに居んだよ!?
兎「ヘイヘイヘーイ!もしかして黒尾の彼女か!?
俺は梟谷の木兎光太郎だ!彼女ちゃんの名前は?」
いやいやいや!言えるわけねえだろうが!?
どうする?無言で通るか?いや、光太郎相手に無理だ!?
顔を覗き込もうとする光太郎を避けるため
目の前の鉄朗の胸に抱き着き顔を埋めた
黒「名前は結...」
兎「ゆ?」
黒「...きだ」
兎「へーゆきちゃんか!
黒尾の好みは茶髪で小さい女なんだな!?
俺の好みはな~
小さくて黒髪のロングでちょっと口の悪い女だ!」
黒「....それって前に聞いた幼馴染じゃね~の?」
兎「おお!よく覚えてんな~そうだ!俺の好きな奴は結月だ!?」
黒「居なくなった奴の事なんか忘れて
早く新しい彼女作れ木兎」
ん?なんか言葉に棘が含まれてますよ黒尾君
兎「んん~確かに結月が居なくなってから
何人かと付き合ったけどよー
やっぱ結月が一番なんだよな~
体の相性」
黒「へ~」
地を這うような声に
恐る恐る鉄朗を見上げる
『Σ!!?』
黒「体の相性ねえ」
恐ろしい程に笑顔
黒い...物凄くどす黒い笑顔で微笑んでいる
それに気づかない光太郎
兎「あっ!俺用事があって来てんた!?じゃあな!」
嵐のような光太郎と別れて
ウイッグをそっと棚に戻し糸と布の会計をすませて
学校へと帰るため歩き出した