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【ハイキュー!!】月と影の奏で R18

第10章 新月


ピンポーンと玄関からチャイムが響く。

あっ、影山くん?
ドアに手を掛けようとしたところで、外から声が掛かる。

「和奏、いるんだろ?開けて。」

蛍だ!
会えないと伝えたけど、最後までメッセージを返さなかったから来てしまったんだろうか。

声を聞いただけで、涙が出た。
扉の向こうに蛍がいる。

でも…影山くんもこちらに向かっている。
もし、私と蛍が会っているところを見たら…影山くんはどれだけ悲しい気持ちになるだろう。。。

ゆっくりと、扉の横に付属しているチェーンロックに手を伸ばし、扉を繋ぐ。

蛍は合鍵を持ってる。
きっと鍵を開けて入って来る。

会えない。
けど…どうしても会いたい。

自己満足だとはわかっているが、伝えないといけない事もある。

せめて、扉の隙間越しにでも…会いたい。
そして、伝えたい。

蛍が鍵を解除して、扉を開けた。
数センチ開いた扉はチェーンに繋ぎとめられる。

「そんなに…僕と会いたくないの?王様に…彼氏にそうしろって言われたの?」

数センチの隙間から、信じられない物を見るような表情の蛍が見える。

蛍だ…。
チェーンロックなんて外してしまって蛍の胸に飛び込みたい。
でも、それをしたら、同じ過ちの繰り返しだとわかってる。

私が1人で勝手に守って来た約束を、
ちゃんと私自身の手で終わらせる時なんだ。

「蛍…。蛍は覚えてないかもしれないけど…いつでも隣に居るって…約束したの。小さい頃に。守れなくて、ごめんなさい。」

大きくなったら結婚しようなんて、子供の頃の約束を、捨てきれずに1人で勝手に守り続けてた。

蛍にとっては重荷だったのかな…?

ふぅー。っと蛍が長い息を吐いたのがわかった。
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