第10章 新月
人の動く気配で目が覚めた。
「けい…?」
カーテンの外は薄っすら明るくなっている。
何時だろう。
「悪い。起こしたか?皐月はまだ寝とけ。俺、家に荷物取りに戻るけど…朝練行く時に、また迎えに来るから。」
玄関の辺りでこちらを振り向いたのは影山くんだった。
あっ…私、いつもの癖で蛍の名前…。
「また家出る時に連絡する。勝手に行くなよ。」
何事もない様子で出て行く影山くんをみて、先程のは聞こえていなかったのだろうと安堵する。
今まで、私が寝ている時に部屋にいるのなんて、蛍だけだったから…。
これからは気を付けないと。
まだ寝てろって言われたけど、何時なんだろ?
うーんっと伸びをしながら時計を見ると4時半だ。
確かに、朝練に行くにしても少し早い。
だけど、不思議と眠気はない。
昨日眠ったのも決して早い時間じゃないはずだが、
その分ぐっすり寝れたのかもしれない。
ゴロゴロする気にもなれず、シャワーを浴びる事にした。