第10章 新月
「もっと…したい。」
流石にこれ以上は変態だと思われるだろうか。
でも、これまでにこんなキスをした事がなかった。
触れるだけで…こんなに好きって気持ちが伝わる行為だっただろうか。
ポツンと呟けば、予想外に影山くんが体を離す。
ヤバい…。
絶対に変態だって思われた。。。
「これ以上…煽るな。本当に我慢出来なくなるから。」
影山くんの瞳は真剣だ。
「ご…ごめんなさい。」
確かにキスはもっと続けていたいが、それ以上先に進む気にはなれない。
「おう。…そろそろ皐月は休め。明日も早いんだから。」
「影山くんは…?」
「俺は後で、そこのソファー借りて寝る。でも、皐月が寝るまでは、ベッドの側でお前が泣かないか見張ってる。」
「えー。見張り付きじゃ寝れないよー。」
影山くんが真面目な顔で言うから、笑ってしまう。
本当…影山くんがいなければ、今頃泣いていただろう。
「いいから。」
私をベッドまで誘導して横になるように促すと、
左手をぎゅーっと握ってくれる。
本当に見張ってるつもりなんだ…。
これじゃ眠れない…なんて思ってたのは一瞬で、
色々ありすぎた一日の疲れと、影山くんの手の温かさにあっという間に眠ってしまった。