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【ハイキュー!!】月と影の奏で R18

第10章 新月


「もう、泣き止んだか?」

私の動く気配を感じて、影山くんが腕を緩める。

「ごめん。私…今日、泣きすぎだよね。」

急に恥ずかしくなって、影山くんの身体を軽く押し返す。

「朝まで…一緒に居てもいいか?」

きっと影山くんはわかってるんだ。
1人になったら、私が朝まででも泣き続ける事。

「でも、明日も朝練あるでしょ?それに…。」

私も女子高生になったのだ。
男女が2人で朝まで過ごすと言うのがどう言う事かはわかっている。
彼氏彼女になったと言っても、影山くんと今すぐどうこうと言うのは考えられない。

ふいに先程までの蛍との行為が頭をよぎる。
私…本当に何考えてるんだろ。。。最低だ。

影山くんは言い淀んだ私の意図したところがわかったようで、少しムッとした。

「皐月が嫌がる事なんかするか、ボゲェ。別に今日だけじゃねぇよ。皐月が俺の事、好きだって思ってくれるまで、手なんか出すはずないだろ。」

相変わらず真っ直ぐ降り注ぐ影山くんの言葉。
何だか…くすぐったい。

「俺、その辺の床で寝るし。だから、安心しろ。とりあえず…手当てさせろ。」

「手当て…?」

何のことかわからず見上げると、ガッと腕を掴まれる。

「コレ。擦り切れてるから。跡が残ったら大変だろ。」

蛍が手首を縛った跡だ。

「いいよ。こんなの…ほっとけば治るよ。」

影山くんだって、こんな物見たくもないだろう。

「俺が…一刻も早く消えて欲しいんだよ。救急箱とかないのか?」

影山くんの言葉はいちいちくすぐったい。
こんなの…初めてだ。

ぼんやりと救急箱の場所を告げると、それを片手に戻ってきた影山くんに座るように促される。

「ったく。こんなになってんじゃねぇか。もう自分が傷付くような事はするなよ。ボゲェ。」

手当てをしてくれながら、そう言う影山くん。
いつも日向くん達に言ってるのとは、少し違う…なんだか、温かみのあるボゲェって口癖。

これも、なんだかくすぐったいな。
影山くんが心配そうに手首の跡を眺めるている。
くすぐったさの原因がわかった気がした。

自惚れてるかもしれないが…
影山くんは本当に私の事が好きなんだ。
今までの影山くんの温かくて、くすぐったい言葉達が、全て好きだと告げている。

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