第7章 月白
「僕の事呼べないくらい気持ちよくなっちゃってるの?」
目の前が急に明るくなり、蛍の姿が見える。
少しの時間のはずなのに、酷く懐かしく感じる。
私…さっき、何考えて…。
「あ…け…い…。けい…。けい…。」
影山くんの事を考えながら達したなんて…。
罪悪感から蛍の名前を何度も呼んだ。
「そろそろ僕のが欲しいんでしょ?舐めてよ。大きくしてくれなきゃ、入れてあげれないし。」
…欲しい。
蛍が言うように、本当に蛍じゃないとダメなんだって…
自信が欲しい。
普段はそれとなく避けているフェラにも抵抗を感じない。
それは先程の罪悪感から…というのもあるし、
蛍との行為の中に答えがあるなら…と必死なのもある。
「ん。もう、いいよ。」
素っ気なく言い放つ蛍の顔を見ると、
言葉とは裏腹に感じてくれているのがわかる。
もう慣れ過ぎて存在を忘れかけていたローターと手の拘束を外される。
「さて、和奏。どうして欲しいの?」
「あ…。」
蛍はいつだって残酷だ。
全て蛍が決めてしまうくせに、いつだって最終判断を下す事だけは私の仕事だ。
もう…やめたい。
いや…このままドン底まで突き落として欲しい。
蛍の居ない世界へ行きたいような、
蛍しか居ない世界に閉じこもりたいような。
ほら、どんなに考えたって、矛盾だらけの私に答えなんて見つけられない。
「け…蛍の大きいので…和奏に教えてください。蛍じゃないとダメなんだって…教えて下さい。」
それなら、教えて欲しい。
本当に蛍じゃないとダメなんだって。
後悔も出来ないくらい…刻み込んで欲しい。
「仕方ないね。入れるよ?」
「蛍…。」
蛍…怖いよ。
ねぇ…蛍…大好きだよ?