第7章 月白
唇が触れそうな位置で囁くように話す蛍。
思わずこちらから唇を求めそうになり、思い留まる。
説明…しないと。
影山くんとは何もないって。
何も…話してないって。
「あっ…っ。ちが…、かげや…くんとは…あっ…。」
「いいよ。別に興味ない。」
左の肩の辺りにズキッと痛みが走る。
「いっ…。」
何これ…?
何したの…?
「け…い…。」
蛍からの返答ない。
その代わりにチュッ。チュッ。とリップ音が響く。
キスマーク付けてるんだ。
さっきのは…噛み付かれたのかな…?
「けい…。だめぇ…。あと残っ…ちゃ…。」
今まではキスマークなんてつけた事ないのに。
私達の関係が他にバレるのが嫌で、絶対に跡なんて残さなかったのに…。
「残ればいいよ。見せつけてやれば?王様とかに…。」
何を…勘違いしてるの?
影山くんとはそんな事しない。
蛍だから…。
蛍の事が好きだから…。
蛍じゃないとダメなのに…。
「や…。ちが…うの。蛍だけ。蛍…だけなのぉ。」
蛍の笑う気配がした。
「和奏、ご褒美だよ。これ、わかるよね?この前和奏が何回もイッちゃったやつだよ。」
嬉しそうな蛍の声とともに、ブーンって機械音が耳の近くで聞こえる。
ローターだ。
前に蛍に使われた時は信じられないくらい感じてしまったのをよく覚えている。
「いやー!」
暴力的なほど無機質な振動が胸の突起を襲う。
「前はこれで何回イッたんだっけ?答えられたら外してあげるよ。」