第7章 月白
耳元に感じる蛍の吐息だけで、下半身が疼くのを感じる。
蛍はやめるつもりはないようだから、
こちらも無駄な抵抗はせずに、快楽に身を任せた方がいいだろう。
私はいつからこんなに打算的になったのだろう。
ゴソゴソと動く蛍の方を向こうとすると、
両手を後ろで一つにまとめあげられる。
え…縛られたの?
紐による圧迫を感じる手首を引き離そうともがくが、ビクともしない。
「いや。蛍!何これ?嫌だ。外して!」
「大丈夫だよ。和奏はMなんだから。きっと縛ってる方が気持ちよくなれるよ。それとも、他の場所も縛ってあげようか?」
嫌だ。
今までこんな事した事無かったのに。
下手に抵抗したら本当に他の場所まで縛りそうな真剣な顔で蛍がこちらを見ている。
私がMなんじゃなくて、蛍がドSなんだと思うけど…そんな事にツッコミを入れる余裕はもちろんない。
なにが面白かったのか、蛍がふっと笑い、近くにあったスポーツタオルを手に近付いてくる。
今度は何をされるのか予想が出来たが、両手が塞がっているので何も出来ない。
「いや。蛍!これは本当に嫌だよ。外して。見えないよ。」
予想通り、タオルで目を覆われる。
全く光が漏れ込んでこない。暗闇だ。
「見えなくても、僕がここに居るのはわかるでしょ?」
突然、耳を噛まれる。
ビクンっと自分でもわかるくらい反応してしまった。
「ほら。和奏も見えない方が気持ちいいみたいだね。本当…エロ過ぎるでしょ。」
蛍の体温が…声が…いつもより近く感じる。
「いやだ。蛍。怖いよ。怖いから、外してよ。」
怖い。
蛍の言う通り、いつも以上に感じてしまったら…
何だか取り返しの付かない事になりそうで、怖くて仕方ない。
蛍…。
怖くて縋り付きたいのに、手が動かない。
その時、こっちだよ。と言わんばかりに蛍が私を振り向かせ、唇を重ねた。
置いていかれたら…どうしよう。
離れるのが怖くて必死に蛍の舌を絡めとる。
背中に蛍の体温を感じていると、
今度は突然胸を揉みしだかれる。
蛍は慣れきった手付きで、私の敏感な部分を攻め立てた。
「ふ…ん。んっ…。」
先程から終わりの見えないキスのせいで完全な酸欠状態の私の唇を蛍が解放した。
「ねぇ、王様と何があったの?」