第7章 月白
「ねぇ。未読スルーってどういうつもり?僕がどんだけ心配したかわかってる?」
そう言った蛍の口調に怒りが含まれているのを感じた。
「あれ?蛍。部活は?」
今、何時だろう?
どうやって、家に帰ったんだろう?
全く記憶にない。
「とっくに終わったけど…。それより僕の質問は無視?」
「え…?未読??そういえば、今日はほとんど携帯見てなかった。」
確か、潔子先輩に部活を休む連絡を入れたはずだが…
他のメッセージまで気が回らなかった。
「はぁ。携帯見てないとか、どんだけ抜けてるの。授業も部活も来ないから心配したんだよ。」
そうだよね。
普段ならすぐ来る返信が、いつまで経っても既読にすらならないなんて…逆の立場だったら心配過ぎて、すぐに蛍の様子を確かめに行くだろう。
「ごめん。心配かけて。」
謝る私を蛍が、何か言いたげに見返してくる。
「授業サボって、王様と何してたの?」
「え…。影山くんとは…別に…何も…。」
蛍は私が影山くんと居たことを知ってるんだ…。
影山くんが喋ったの…?
どこまで…?
まさか、告白の事も…
ふいに真剣な表情の影山くんを思い出してしまう。
「本当に…勘弁してよね。」
え?
蛍が何て言ったか聞き取れなくて、聞き返そうとした時に強く引き寄せられた。
「ちょ…蛍!ん…んっ…。」
かなり強引な口付けが、蛍が怒っていることを知らせてくれる。
影山くんに話したことがバレてるの?
「蛍!待って…。ダメ!」
ダメだ。
話を聞いてもらわないと。
蛍の体を力の限り押し返す。
蛍の様子を伺うと、口元だけ薄く笑った。
「ひゃ…。」
その瞬間、蛍が耳に噛み付く。
背筋がゾクゾクとする。
「お仕置きなんだから、大人しくしなよ。」
あぁ…蛍は許してくれない。。。