第6章 半月
「ねぇ。未読スルーってどういうつもり?僕がどんだけ心配したかわかってる?」
部活終わりにその足で和奏の家へ向かい、使い古された合鍵で勝手に家の中に入る。
制服姿のままベッドに腰掛けていた和奏が、少し驚いてこちらに視線を向ける。
この様子では体調不良は嘘なのだろう。
「あれ?蛍。部活は?」
「とっくに終わったけど…。それより僕の質問は無視?」
「え…?未読??そういえば、今日はほとんど携帯見てなかった。」
いつもと様子の違う和奏にザワザワしながらも、
僕はいつもの調子で、和奏の部屋に荷物を下ろす。
「はぁ。携帯見てないとか、どんだけ抜けてるの。授業も部活も来ないから心配したんだよ。」
「ごめん。心配かけて。」
僕の方こそ、朝の事…ごめん。
僕が無茶させたせいじゃないかと思って…心配だったんだ。
言いたい事はあるのに、今更そんなに素直になれない。
「授業サボって、王様と何してたの?」
そんな事、聞きたくもないくせに。
「え…。影山くんとは…別に…何も…。」
明らかに動揺する様子の和奏。
それよりも、王様の名前が出た途端に、少し頬を赤らめたのを僕が見逃すはずがない。
「本当に…勘弁してよね。」
なんで王様相手にそんな表情してるのさ?
今朝まで王様なんて、眼中にも入ってなかったじゃないか?
何があった?何をされた?
「ちょ…蛍!ん…んっ…。」
悪いけど、悠長に聞いてあげる余裕ないから。
軽い和奏の体を引き寄せ、深く唇を重ねる。
「蛍!待って…。ダメ!」
よく聞く台詞だ。
和奏のダメは、もっとの裏返しだって、経験上わかってる。
でも…今日のはいつもと違う。
僕から身を離そうと必死に力を込める和奏の態度が、本当にダメなんだと物語っている。
そんな態度…初めてでしょ。
はぁ…お仕置き確定だね。