第6章 半月
結果、メッセージが既読になる事はないまま放課後になった。
日向が騒ぎまくったお陰で、和奏と王様が行方不明という事はバレー部全員に周知の事となっていた。
「あの裏切り者め。皐月に何かあったら、許さねぇ。」
「クソ。皐月の唇を一番に奪うのは俺なのに!」
2年生コンビが、冗談で済ませられないような発言をしてるので、無言で睨み付ける。
「でも、影山が…意外だ。」
「そうか?クラスも一緒だし、月島を恐れてる様子もないし、影山が何気に一番本気だったべ?」
「ちょ、菅原さん!俺だって本気です!」
「いや、落ち着けよ、日向。それを言い出したら、俺も含めてほぼ全員本気だべ。。。」
あぁ、睨むくらいじゃ全然足りない。
全員に生まれて来た事を後悔させたい。。。
練習の始まるギリギリの時間になって体育館に現れた王様。
いつもなら、王様は重役出勤なんだね。なんて嫌味も言えるけど…今日はそれどころじゃない。
1分でも和奏と長く居たという事実が、僕にドス黒い感情を抱かれる。
先輩たちに囲まれて、色々聞き出されてるけど…
正直、そんな情報は欲しくもない。
僕が知りたいのはもっと核心的な部分だ。
和奏に何かしてたら…許さない。
休憩時間に外へ出て行く王様を追い掛ける。
体育館の中では他の部員達がザワザワと僕の背中を見送っている。
「おい…月島が影山を追い掛けて行くぞ。」
「影山…殺されるんじゃ…。キャプテン、見送ってる場合じゃないですよ。影山居なくなったら、俺へのトスが…」
「日向、ツッキーはそんな事しないよ!」
全員、煩いよ。
部活動に所属している者の暴力沙汰がどれだけ大変な事か…俺だって理解してる。
それに…1発や2発殴るくらいじゃ気が済まないと思う。
「ねぇ。和奏が王様に迷惑かけちゃったみたいでごめんね。」