第3章 薄月
「いじわる…言わないで。あぁ…。」
皐月がどんどん乱れて行く姿に、下半身は高ぶっていくのに、心がどんどん冷めて行く。
「音がしそうなくらい濡れてるの、わかるよね?学校で幼馴染にこんなに濡らされて…。どうして欲しいの?」
聞きたくないと思ってしまう。
一層の事、2人が付き合っててくれればとさえ思ってしまう。
でも、違うんだ。
「欲しい…の。蛍のが欲しいの。お願…あぁ…。お願い。和奏の中に蛍のを入れて下さ…い。」
「お望み通りに。」
皐月は俺の思ってたような女じゃないんだ。
明るくて、真っ直ぐで、ドジで、純粋で…。
違うんだ。
自分から彼氏でもない男を求めるような…そんな奴だったんだ。
「ああ。い…やぁ。」
「ねぇ。気持ちいいのはわかったんだけどさ…あんまり大きな声出すと見つかるよ?」
「いや…イク…イっちゃ…ああぁぁ。」
月島が皐月の口を塞ぎながら、ラストスパートをかけたのがわかった。
皐月は苦しそうに、首を小さく振っていて…。
何でだよ。
何でそんな愛のない行為を受け入れてるんだよ。
「僕、先行くよ。1限目から移動教室なんだ。」
まだグッタリしている皐月を残して月島が去って行く。
見つからないように少し隠れて月島を見送りながら、拳を強く握りしめてる事に気付く。
何で大切にしてやらないんだよ。
何で…。何で…。
全てが衝撃的過ぎて、頭の中がグチャグチャだ。
「ふぅ…うっ…う…」
見つめてた拳から皐月に視線を戻すと、
その場から一歩も動かず皐月が膝を抱えて泣いていた。