第3章 薄月
「…こんな事…ければ」
俺が聞き間違えるはずがない。
皐月の声だ。
体育館の裏なんかで、何して…
「それは無理。」
心臓が大きく打った。
どうしてこんなに心臓の音が大きく聞こえるのか…
混乱してよくわからないが、
一つだけ、ハッキリわかっている事は、皐月がキスをしている事。
そして、その相手が月島だという事だ。
なんだよ。あいつら、やっぱり付き合ってるのかよ。
騙されるところだった。
ドクドクと脈打つ心臓が、ズキズキ痛むのは気付かないふりをした。
ここを離れないと…。
「いや…。ダメだよ…ねぇ、蛍。」
2人の行為はどんどんエスカレートしている。
皐月はダメだと言っているのに、頬を赤らめ、媚びたような目つきで月島を見ている。
ヤバ…エロ過ぎだろ。。。
こんな皐月は知らない。もっと知りたい。
そう思った時には、ここを離れようとしていた事などすっかり忘れていた。
しっかり反応している自身を押さえ込み、思わず2人の行為を覗き込む。
「何がダメなの?学校でこんな事してる事?付き合ってもないのにこんな事してる事?それとも…学校で幼馴染にこんな事されて、ぐしょぐしょに濡れちゃってる和奏?ねぇ、何がダメなの?」
月島のやつ、セックスの最中でも性格悪い事しか言えないのか。
って…え?
付き合ってないのか…?
付き合ってないのに…こんな事してるのか?