第17章 満月
よし!蛍に見合うような素敵女子になる!!
意気込んで、一人で小さくガッツポーズを決めていると、後方でキャプテンが号令を掛けて、本日の部活が終わった。
そもそも…素敵女子になるにはどうしたらいいんだろう…。
なんて考えながら、ビブスやドリンクのボトルを片付けて更衣室へ着替えに行く。
例えば…料理とか?
一人暮らしだから、ある程度は出来るけど…、
蛍の胃袋を掴んで離さない料理を身に付けないと!
他には…何だろう?
うーん。と唸りながら、校門へ向かっていると、暗がりから急に声を掛けられた。
「ねぇ、まさかと思うけど、一人で帰るつもりじゃないよね?」
「きゃ…って、蛍。ビックリした…。」
何も…そんな暗い所に居なくても…。
驚かす気だったのだろうか。
「その反応…。本当に一人で帰る気だったんだね。」
蛍が意地悪そうな笑みを浮かべる。
そりゃ、前までは幼馴染だからって当たり前の様に一緒に帰ってたけど…。
一緒に帰るなんて2ヶ月ぶりだし、
それにお互い好きって意識してしまうと…
何だか一緒に居るのが恥ずかしい。
「だって…一緒に帰る約束してなかったし…。」
はーっと蛍がわざとらしくため息をつく。
「和奏、一緒に帰るよ。これから毎日。…これでいいの?」
「いや…あの…。」
いくら何でも、その約束方法は強引過ぎやしないだろうか。
「僕はこれ以上、少しも離れたくないって…昨日言ったよね?」
そう言って私の右手を絡めとる蛍。
何か反論の一つでも言ってやろうと思っていたのに、
少し前を歩く蛍の耳が赤くなっていて…私まで赤くなってしまう。