第17章 満月
「違うの。顔を上げて。そういう事じゃなくて…和奏ちゃんは大丈夫なの?」
潔子先輩が心配そうに覗き込んでいる。
2年生コンビではないけど…本当に天使だ!!
「大丈夫です。というか、私から別れて欲しいって…影山くんに言ったんです。やっぱり、ちゃんと蛍と向き合いたくて。」
そういえば、潔子先輩は最初からこうなるんじゃないかって、心配してくれてたのに…本当に私ってダメですね。
そう言って笑うと、潔子先輩が真剣な顔をした。
「別にまわり道することは悪い事じゃない。まわり道じゃないと気付かない事もあるし。和奏ちゃんが幸せなら、それでいいと思う。」
「幸せかぁ…」
そうか。
影山くんをわがままに振り回して傷付けたからには、
何が何でも幸せにならないといけない。
そして、蛍の事も幸せにしたい。
「相談したい事が出来たら、何でも話してね。たまには先輩も頼ってくれないと寂しい。」
潔子先輩の笑顔が美し過ぎる…。
こんな素敵な笑顔で微笑まれたら、2年生コンビ以外だって、簡単に潔子先輩の虜だろう。
蛍だって…って、付き合う前から何を考えてるんだ。
それに…。
昨晩の蛍の涙を思い出した。
蛍はかっこ悪いと言っていたけど…長い間ずっと知ってる蛍の中で、一番かっこよく見えた。
あの時の蛍が信じられないなら、一生幸せになんてなれないよ!
自分に言い聞かせた。