第15章 三日月
「僕のせい…?」
僕の言葉に、弾かれたように顔を上げた和奏の表情。
返事を聞くまでもない。
正直…和奏と王様が上手くいっていないなら、
せこい話だが、その事実は嬉しい。
そのまま別れてくれればいいのに…と思う。
ただ…。
悲しそうな和奏の表情を見ると、
悲しいとか、申し訳ないとか、そういう気持ちにもなる。
また僕が和奏を悲しませている。
「ねぇ、和奏。パパとママくらい大人になったら、僕と結婚してよ。僕がずっとずーっと和奏の事守るから。」
幼い頃、そう誓ったのは僕自身だ。
あの頃は和奏が隣に居るのが当たり前だと思っていたけど、
例え、和奏が僕の隣以外の場所を選ぶとわかっていても、
あの頃の僕なら和奏を守ると即答したはずだ。
僕が和奏を悲しませる訳にはいかない。
僕の気持ちを伝えよう。
ちゃんとフラれて、和奏の為にいい幼馴染になろう。
和奏の為なら、恋愛相談だって、結婚式のスピーチだって…何だってやろう。
ふーっと長い息を吐いた。
「和奏、聞いて欲しい話があるんだ。」
「あの…違うの。蛍のせいじゃないの!」
今まで黙っていた和奏が、急に喋り出す。
それは、僕の話など聞きたくないとでも言うかのように。