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【ハイキュー!!】月と影の奏で R18

第15章 三日月


「僕に嘘つく必要ないんだけど…。とりあえず、聞いて。」

僕のせいでなければ、さっきの反応はあり得ないでしょ。
和奏の嘘なんか、目を瞑ってても見破れる自信がある。

「違うの。私が…、私が悪かったの。蛍の事なんて、全部わかっているつもりで、本当は何もわかってなくて…。飛雄まで振り回して、傷付けた。」

予想していた話と違い過ぎて、何を言っているのかサッパリわからない。

ただ…目の前の和奏から流れ落ちる涙を無意識にすくい取る。

「ちょ…泣かないでよ、和奏。」

「ごめんなさい。蛍…ごめんなさい。」

何で…和奏が僕に謝っているんだろう。

相手のことをわかっているつもりで、本当は何もわかってなくて…って、そんなのそのまま全部僕の台詞でしょ。

泣き止まない和奏を抱き締める。

「泣かないで、和奏。何を謝ってるのかはわからないけど…いい加減、僕にも謝らせてよ。」

和奏の嗚咽だけが聞こえる。

「僕、和奏に酷いことした。…反省してるんだ。本当に…。和奏の気持ちなんて…全然考えてなかった。和奏は何も悪くないよ。全部、僕の勝手な我儘なんだから。許して欲しいなんて…言える立場じゃないんだろうけど、許してもらえるなら、何でもする。」

一気にそう伝えると、和奏がゴソゴソとこちらを見上げる。

こんなにぐちゃぐちゃになる程泣いているのに…
それでも可愛くみえるんだから、本当に末期症状だ。

心臓があり得ないくらい脈打ってるのに、
そんな余計な事だけは考えられるなんて。

「蛍は…本当に、私の気持ちなんて全然考えてない。」

覚悟はしていたけど、心臓が裂けそうになるってこういう気持ちだろうか。
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