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【ハイキュー!!】月と影の奏で R18

第15章 三日月


時間にすると5分程だった。
一生辿り着かないかと思う程長く感じたし、
もう着いたのか…と驚く程短くも感じた。

ポケットに手を突っ込んで、そこで少し冷静になる。
僕…携帯以外何も持った来なかったんだ。
和奏の家の鍵も、自宅の鍵とひとまとめに鞄の中に入れっぱなしだ。

和奏が入れてくれなければ…。
前にチェーンロックを掛けられた事を思い出す。
あの時は、王様と付き合うのだと告げられたんだ。

そんな嫌な記憶に、少し躊躇しつつも、
和奏に会いたい気持ちの方が僕の中で圧勝した。

先程からお互い無言のまま繋がった携帯に話し掛ける。

「和奏、聞いてる…よね?今、家まで来てるんだ。開けてくれない?」

「……。」

電話越しには相変わらず無言だけど、中でガサゴソと人の動く気配がある。

怖くて仕方がない。

ドキドキしながらも、待つことしか出来ず、
和奏の反応をじっと待つ。

[プッ。プープー。]

突然耳元で、僕と和奏を繋ぐ電話が途切れる。

「和奏!?」

思わず玄関の扉に向かって叫べば、扉が開いて、
ゆっくりと和奏が顔を覗かせた。

「蛍…?」

安堵感からか、
和奏の可愛さからか、
とにかく色んな感情が入り混ざって、
和奏を引き寄せ、腕の中に閉じ込めた。
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