• テキストサイズ

【ハイキュー!!】月と影の奏で R18

第15章 三日月


予想外にすんなり繋がった電話に、
そんな的外れな事を考えていたら、喋り出すのが遅れた。

「和奏?1人なの?あの…大丈夫?」

思っている事が言えず、途切れ途切れになってしまう。
これでは、女子と会話した事のない奴みたいだ。
恥ずかしすぎる。

「あの…。えっと…。」

和奏が何か言い淀んでいると、窓の外に稲妻が見えた。
ゴロゴロと響く雷鳴と一緒に、ひっ…と小さな悲鳴が聞こえた。

それが聞こえた時、居ても立っても居られず、部屋を飛び出した。

「和奏?1人なんでしょ?大丈夫だから。このまま電話切らないでよ。」

和奏は何も言わないが、電話を切る様子はない。

今なら間違いなく和奏の考えている事がわかると断言出来そうだ。

雷が怖くて仕方ないのに、僕に頼ったいいのか、
自分の中で答えを出せていないんだろう。
きっと、王様の事とか、
前の雷の夜の事とか…
色々考えてしまってて、一言も話せないでいるのだろう。

例え和奏が王様と付き合っていたって、
頼られて断る理由になど、なるはずがない。

和奏が僕を頼ってくれるなら、何を投げ出しても駆け付けるから。

だから、僕にあの日を…あの雷の日をやり直すチャンスが欲しい。

気まぐれだろうが、気の迷いだろうが、
和奏が電話に出てくれた幸運を噛み締めながら、雨の中をひた走った。

雷のお陰で、和奏が頼ってくれるなら、
雨に打たれる事も、雷に打たれる事さえ平気な気がするなんて…本当にどうかしてる。

早く和奏の顔が見たい。
/ 140ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp