第15章 三日月
一刻も早く、和奏と話したい。
まずはちゃんと謝ろう。
今までの事、全部。
許してもらえなくても、仕方がない。
許してくれるまで…どれだけかかっても償うつもりだ。
そうは思っても、合宿は翌日には終わってしまったし、
学校で解散した時だって、いち早く王様と帰ってしまった。
このまま永久に和奏とは話せないんじゃ…?
そんなネガティヴは考えに囚われかけて、頭を振った。
何としても…和奏と話す。
家に帰って荷物の整理をしてから、すぐに携帯を取り出す。
和奏に発信するのはいつぶりだろう?
前までは着信履歴の大半を占めていた和奏の名前が、履歴では見つけられず、わざわざアドレス帳から和奏の名前を探し出した。
電話の呼び出し音が耳元で響く。
和奏が出たら…何て言おう。
あまり、遠回りな事は言わずに、素直に謝りたい。
ドキドキと、自分の心臓の音が聞こえる。
もし、和奏が許してくれなかったら…。
いや、和奏は許してはくれないだろう。
それでも、伝えなきゃダメだ。
[プッ。プープー]
定期的になっていた呼び出し音が、ブツリと途切れた。
切られた…のか?
やっぱり和奏は怒っているのだろう。
もう僕と話したくなんてないんだ。
それとも、王様が一緒で切ったのかもしれない。
そして、その両方って可能性が一番濃厚だ。
ごめんって伝えるのは…いつからこんなに難しくなったんだろう。
外を見るとポツポツと大粒の雨が降り出していた。