第14章 煙月
何があった?あいつと。
そう聞きかけて、言葉を飲み込む。
知ってしまうと、何かが終わりそうな気がしたから。
「もう、大丈夫なのか?清水先輩も心配してるから、部屋に戻ろう。」
「うん。ごめんね。」
俺の目を真っ直ぐ見ずに、そう答える和奏に、
俺が真っ直ぐ本音を問いただす術など持っていない。
それからの合宿は、何事もなく進んだ。
俺と和奏の関係も、
和奏と月島の関係も、
表面上は変わらなかった。
そう、表面上は…。
時折、上の空になる和奏や、
何か言いたげに和奏を見つめる月島や、
それを見て、イライラせずにはいられない俺。
そんな調子で3泊4日があっと言う間に終わった。
「家まで送る。荷物もあるし。」
学校で解散するなり、和奏の荷物を持って歩き出す。
「待って!飛雄も疲れてるだろうし、大丈夫だよ。」
こんな事で疲れてはない。
それよりも、早く和奏と2人きりになれる所へ行きたい。
合宿中は禁欲生活を強いられたが、
きっと和奏と触れ合えば、また心が近付く。
そんな気がする。
だから、和奏を早く抱きたい。
「俺が疲れてるわけないだろ。ボゲェ。」
「でも…。」
もう、グダグダ言わないでくれ。
和奏を取り戻したい。
俺のものなんだって、確かめたい。