第14章 煙月
扉を開けて、まず視線を送ったベッドが無人だった事にホッとした。
そして、そのベッドの横に座り込んでいる和奏を見つけて、ザワっとした感覚に囚われる。
1人で居てくれて良かった。
でも…様子が普通じゃない。
そもそも、床に座り込んでいるところからおかしい。
「和奏!良かった。居なくなったかと思った…。
なんで、電話出ねぇんだよ!本当…良かった。」
嫌な予感に脈拍が上がるのを和奏に気付かれたくなくて、ギュッと強く抱きしめた。
いつもの和奏の匂いだ。
きっと、俺の最悪の予感は外れてる。
そもそも、和奏はそんな事が出来る奴じゃない。
「連絡もしないで…何してんだよ?」
まだ不安がゼロになった訳じゃないけど、
だからこそ、和奏の口から大丈夫だと聞きたかった。
「ごめん。少し、体調悪かったみたいで…。お薬があるといいなぁと思って医務室きたら、そのまま寝ちゃって…。」
サボっちゃった。と、えへへと笑う和奏に感じる違和感。
きっと…月島と何かあったんだろう。