第14章 煙月
和奏…どこにいるんだ。
走っている間に浮かんだのは、
月島のせいで泣いていた和奏だ。
月島は悪くないのだと言い張って、
自分が傷付くとは仕方ないのだと言い張って、
1人で涙を流す和奏だ。
「くっそ…。」
電話は何度もかけたが、いつまで経っても留守電だし、
メッセージさえも既読にならない。
どこで何してるんだよ!
何って…先程の和奏と月島の体育館裏の行為が頭から離れない。
関係を持ってからも、あの時の和奏の媚びた瞳が、ずっと忘れられなかった。
簡単に…あの頃の和奏に引き戻されてしまうんじゃないかと思うと、怖くて仕方がない。
どれぐらい走り回っただろう。
通り過ぎようとした廊下で、奥の方から微かに光が漏れている部屋がある。
あそこは…医務室?
一瞬で嫌な予感が広がる。
乱れたベッドで絡み合う2人が…見たこともない光景なのに、やけに鮮明に浮かぶ。
最悪だ。。。