第2章 月華
泣き続ける和奏を置いて、家に帰ってから、急に冷静になった。
なんて事をしたんだろう…と。
ただ怖いのは、和奏に避けられる事だった。
嫌われててもいい。
それでも、和奏の隣は僕じゃないと嫌だ。
何か口実をつけて、すぐに和奏の家に戻ったのは覚えている。
自分はいつも通り…いつも通り…と心の中で繰り返しながら、
必死にいつも通り取り繕う和奏に、またイライラしたんだ。
嫌なら嫌だと言えばいいのに。
怒ってるなら、怒ってる態度を取ればいいのに。
そっちがその気なら、僕も勝手にやらして貰うよ。
離れていく和奏の腕を掴んで、無理やりこちらを向かせ、そのままの勢いでキスをした。
和奏が拒む事はなかった。
それから、何度も身体を重ねている。
好きになってもらうことが叶わぬ願いなら、
せめて、僕なしじゃいられないように身体に刻み込んでやりたいのに…
今のところ、僕ばっかりがハマってる気がする。
本当…イライラする。
「ねぇ、和奏。いつまでもぼーっとしてるなら、先に行くけど。」