第2章 はじまっちゃったよ二年生
「無駄にデカくてイケメン寄りのチンピラ顔め」
「ソレって褒めてんの貶してんのどっち?」
「どっちも。あ、体つきはいいと思うよ、良質な筋肉うらやますぃ」
「それはドーモ」
「個人的にはもう少し細身の方が好みだけど」
「上げて落とすなよ」
「トサカ頭だし」
「完全に悪口じゃねーか!」
うむ、いい突っ込み。本日も黒尾くんのノリは絶好調なようだ。さて、そろそろなにか食べないとお腹と背中がくっつくぞ。
「じゃあ切るね?また明「待て待て!」…え?」
「え、じゃねーよ。なに終わろうとしてんの、学校こないんデスカ?」
「うん。帰るだけだし、お腹空いたし、疲れるし、めんどくさい、おなかすいた…」
あーほら、お腹が絶叫しだしたじゃん。進化しすぎた最近のお化け屋敷もびっくりな叫び声だよ、空腹を嘆き訴えているよ。
「っ……っ…」
「ねぇ、笑ってるの丸わかりだからね?伝わってるからね?」
たとえ笑い声を堪えたとしても、机をバンバン叩く激しい打撃音が聞こえてるからね!そんなに腹の音が珍しいかこのやろう……まぁ、女子高生の腹が豪快に鳴り響いてるのは珍しいのかもしれないな。
だが反省はしない、それより普段強烈なスパイクを決めている手に攻撃をうけた机が心配だ。
「黒尾くんの平手で、わたしの首はもげると思う」
「は?」
「つまり、机のライフはもうゼロよ」
真面目に言った瞬間、吹き出してゲラゲラ笑いだした黒尾くんは再び机を叩きはじめた。今度は拳を打ち付けているようだ、ドンドンゴンゴン鈍い音がするから。
ごめん机さん、どうやらトドメをさしてしまったらしい。笑いの沸点低いよね黒尾くん。先生いないの?周りのみんなも止めようよ。
「もう切るよ」
「…おー。明日はちゃんと来いよ?ニャンニャン」
「大丈夫。まともなご飯も食べたいしね」
また飯デスカ、という笑いを含んだ声に飯デスヨ、と大真面目に返せばそれ以上突っ込まれることもなく。夕飯の心配をされて会話を終えた。
男子高校生に食事の心配される女子高生っていったい…。
その日の夕飯はガッツリ特盛牛丼つゆだくセットをテイクアウトした。
もちろん食後のデザートは別腹です、杏仁豆腐とろけるうまー。
next...?