第5章 10月16日ですけどなにか?(番外編)
〜研磨視点〜
夜。受験勉強の息抜きにアプリゲームをしていたら届いたラインのメッセージ。確認すればそれはニャンニャンさんからだった。
ニー
『猫王の限定ガチャ』
『微妙なの出た』
微妙なのって……なんだろ。気になる。
『なに?』
相手によっては面倒で返さないこともあるメッセージなのに、この人には不思議と返してしまう。
ニー
『ミケニャー無気力顔』
なにかと思えば。
『それレアもの』
むしろすごいんだけど、おれが欲しいくらい。
ニー
『知ってるー』
『でもミケニャー使いづらい』
たしかに……ミケニャーはある程度レベルを上げないと攻撃力激弱だし、育てて鍛え上げないと使いやすくはないかも。
『メインキャラべつだしねニャンニャンさん』
ニー
『孤爪くんのミケニャー』
『カンスト目前だよね?』
『うん』
ニャンニャンさんは、なんていうか……クラスの女子と違って話しやすい。
ニー
『無気力顔あげる』
え………どうしよう。でもなにもしてないのに貰うのは悪い気がする。
『いらない』
『わるいし』
自分でも素っ気ない言葉の羅列だと思う。だけどニャンニャンさんはいつも気にせず話してくれる。こんなおれに怒ることも呆れることもなく、笑いかけてくれる。
ニー
『えー』
『遠慮しなくていいのに』
『する』
よっぽど心が広いのか、それとも興味がないのか………興味がなければこんな関係が続いてる筈はない、と思うけど……自信はない。
ニー
『ほんと使わないから』
『もらってください』
『あ』
『誕生日じゃない?今日』
………びっくりした。まさか覚えてるなんて思わなかったから。
『そうだけど』
今年祝おうとしてくれたのは家族と、幼馴染みのクロくらいだし。
ニー
『じゃあ誕プレ』
『はい決まり』
なんか決められた。
『でも』
ニー
『あれ装備したら』
『特殊技つかえるよ』
『本当にいらない?』
……おれ、まだ途中だったんだけど……ほんと強引。こういうところ、ちょっとだけクロと似てる。