第4章 ~冬~ 12月
「エル、俺はただ……」
様々な思いが頭を駆け巡る。
彼女を受け入れるべきか
拒絶するべきか……
だが身体は正直で
リヴァイの足は、既に愛しい人の元へ動いていた。
冷たい石畳に膝をつき、
優しく、そして強く抱きしめる。
「お前に、幸せになって欲しかった」
彼女の頬に自身のそれを重ねれば、じんわりと暖かい。
「お前に、生きていて欲しかった」
彼女の首筋に顔をうずめれば、懐かしい香り。
「お前は……とんだクソ野郎だ」
どんな想いで、お前の居ない道を選んだと思っている。
「ごめん。ごめんね……リヴァイ」
彼女があまりにも泣くものだから、そっと身体を離して顔を確認した。
「きたねぇな」
「なっ!ひどい……ひどすぎる!」
上着の内ポケットからハンカチを取り出し、彼女の顔を拭ってやる。
涙に鼻水、とんだ有り様だ。
「……ちょっとはマシか」
「マシって……どういう事?」
「不細工って事だ、わざわざ言わせるな」
そう言って彼女の髪に指を絡めれば、エルは不満そうに顔を赤らめた。
……懐かしい表情。
数年前の誕生日。この広場の、あのベンチで時計をもらった。
初めての『お揃い』だと主張する彼女に、兵服が一緒だと言った時。
こんな風に拗ねて、そして笑ったんだ。
『言うと思った』って……