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【進撃の巨人/リヴァイ生誕祭】④忘れた頃に

第3章 ~秋~ 10月



「彼女はもう居ない。だから……似ているお前に、いつもあいつを重ねていた」


いきなり言われても、思考が追いつかない。


「あいつの影を追うように、俺はお前に惹かれていた」


……どういう事か、分からない。


「いけない事だと分かっていた。だから……今日を最後に、ここへは来ないと決めていた」


今日が最後だなんて……私は知らない。


「お前は自由だ。こんな……情けねぇ男に構うな。いい男を見つけて、幸せになれ」


そして最後に、またこの言葉。




「悪かった」




彼の言っている事が、よく分からない。

まだ唇に残る、キスの感触。

頭がぼーっとして。理解出来ない。


彼は私の肩から手を離し、路地に落ちた紙袋を拾う。
つい数分前、私が渡した物だ。


「……行くぞ」


激しく襲いかかる虚無感。

彼の視線を感じるのに、私はその顔を見れない。

規則的に並べられた石畳にさえ、焦点が合わない。



ふいに握られた、私の左手。

彼がその手を引くものだから、無言のまま歩き出した。


リヴァイの手に握られた紙袋が、人の気も知らずにプラプラと揺れている。




……彼が分からない。




私を前に、他の誰かを見ていたのなら。

あなたは……

私の手を取り、誰と手を握っていたのだろう?



~秋~ END

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