第3章 ~秋~ 10月
2人並んで辿り着いた先は、至って普通の酒屋。
昼間、どんな店に行きたいかと聞かれた時。私が答えたのだ「洒落た店より、庶民的な店がいい」と。
「兵士長はこういったお店来るんですか?」
リヴァイが慣れた様子でウエイトレスに食事と飲み物を注文した後、そう尋ねた。
「あぁ、こんな店ばかりだな」
「よかった!兵士長相手に失礼だったかな?と不安だったので」
「お前、俺をなんだと思ってんだ」
「人類最強の兵士長さまだと思ってますよ」
「……だせぇ通り名付けられたもんだな」
そう言って彼はため息をついた。椅子に深く腰掛けリラックスした姿は、至って普通の男性だ。
「そういう姿を見ると、安心します」
クスクスと笑えば、彼は視線だけをこちらに寄こす。
「リヴァイ兵士長も、普通の男性なんだなって」
「当たり前だ」
「なんだか遠い人だと感じていたので、私は嬉しいです」
「それは奇遇だな、俺も憲兵様は遠い存在だと思っていた」
「なんですかそれ」
そんなやり取りの後、ウエイトレスが飲み物を運んできた。
2人を隔てる机の上に、ドンッと色気も何も無いジョッキが2つ置かれる。
「……飲むか」
「ですね!飲みましょう」
そして、2人でジョッキを掲げた。
それを合わせれば、トプンッとお酒が揺れて
私の心を踊らせた。