第1章 ~春~ 4月
「まあ、そうだな……会えて良かった」
リヴァイはポツリと、呟いた。
「随分と平和に暮らしていやがる。結構な事じゃねぇか」
この街の平穏は自分が与えたなんて……
そんな事は思っちゃいない。
だが自分の手が汚れる事で、少しでも彼女達に貢献出来ているのなら。
「悪くない」
そう、思えた。
「リヴァイ。会わせておいてなんだが……お前がエルに手を出したら、ナイルがうるさいだろうな」
「何言ってんだ、そんな事する訳ねぇだろ」
手なんか出す筈はない。
恋だの愛だのと騒ぐ経験は、もう一生分した。
アイツとの思い出だけで生きていくと。
1年前、あの病室で決めた。
「あの女。まだいいとか言っていたが、さっさと男つくって結婚するべきだ。このままだと売れ残るぞ」
そう言えば、エルヴィンは随分楽しそうに笑った。
~春~ END