第1章 【Forever mine:増田貴久】
「話してくれて、ありがと。」
やっぱり、ひさくんのこういうトコロ、
スゴく好き。
軽々しく同情の言葉をかけないトコロ、
スゴく安心できる……。
「こっちこそ、聞いてくれてありがと。
あ、でも、誤解しないでね?
親を恨んでるとかじゃないの。
母親が求めたことだって悪いことじゃない。
キレイゴトじゃ子育てはできないから。
育ててもらったことにはすごく感謝してるし。
それに…、ひさくんと出逢えたから。」
「恵麻のそういう…幸せな今があるのは
お互いの過去のうえに成り立ってる
っていう考え方、オレすごく好きだよ。
でもなー! オレには難しいわ! ぶっちゃけ!苦笑
それだとお前の元カレにも感謝するってコトだろ?
それは……100年くらい修行が必要だわ!笑」
「ふふっ。それはそれで愛を感じるよ? 凄く。
それに、それに関しては私も一緒だし…。」
「えっ! お前もオレの過去とか…
気になってたわけ?
全然聞いてこないから、
オレだけこんな気になっててカッコ悪!
って思ってたんだけど!w」
「気にならないわけないでしょ………ばか。
だって、ひさくん優しいんだもん…。
優しくされるとスゴく嬉しいの。
でも、切なくもなる。
今までの彼女にも、やってたんだ…。
とか考えちゃって。」
「そんなこと考えてたの?
わかってないなぁ、恵麻は…。
オレ、今までは全然こんなじゃなかったよ。
恵麻だから優しくしたいだけなの!
お前って賢いかもしんないけど…
ほーんと、ばかw」
ほっぺを軽く、
ツネられて…
「雑じゃないヤツと
一緒にいる方が楽じゃん。
髪乾かしてあげるとか
めんどいことまでしてあげたいのは…
恵麻だからだからね?
多分、過去のオレを知ってるヤツが
今のオレを見たら怒ると思うよ?
『私はそんなに大切にされてない!』
っつってさ。笑
あーなんか、
喋りすぎたら腹へった!笑」
「あ、学校の近くにたい焼き屋さんがあるよ。
そこでたい焼き買って車に戻ろうか。」
通い慣れた景色が
こんなに愛おしく想えるのは
きっとその景色の中に貴方が居るから…。
「何ぼーっとしてんの。笑
行くよー。」
「今、行く。」
駆け寄りながら、
その風景を焼き付けた―――。