第1章 【Forever mine:増田貴久】
首筋にキスをしていた彼が
私の肩に頭を預けたまま言葉をこぼす。
「恵麻だって、
結婚とかに憧れるっていうか……
人並みにあるよな、そういう願望。
オレ、ずっと我慢させてるし、
正直いつ叶えてあげられるかだって
わかんなくて…。
恵麻の親にだって
そういうの、
我慢させてんだもんな……。」
そんな彼の背中をさすりながら
私の精一杯の気持ちを届ける。
「……ひさくんが、そういう気持ちで
いてくれてるだけで私は充分だよ。
それは……さ、そういう気持ちがない
って言ったら嘘になるよ?
でも、私は別に
結婚がしたいわけじゃないから。
ひさくんとだったらどんな感じかなって
………考えちゃうだけ。
他の誰かじゃ、意味ないから。」
「………恵麻が奥さんなら
一生尻に敷かれるんだろうなぁ、オレ。苦笑」
「なんでよ。笑」
「ふふっ。」
―――チュッ。
「……っ///」
「ほんっっと、うるせぇ唇……。
敵わないのは……、
いろんな理由だからね?
……惚れたモン負けってやつ。」
そう言って
さっきまでの
キスの雨とは違う、
深いキスで
呼吸を奪われて―――…。
「ほら、何ボーッとしてんの。
行くよ。ベッド。」
「う、うん。」
返事はしたものの
さっきのキスで
体に上手く力が入らなくて……。
「ったく……ほーんと、
世話が焼けるお姫様だわw」
軽々と抱き抱えられて
ふわふわとした浮遊感のまま
キスの余韻に浸っていると……
ベッドに降ろされながら
また深く、
熱いキスに
蕩けていく―――…。
「お前って……
ホントにやらしい女。
今まで何人の男にその顔、
見せてきたんだろうね?」
「やっ……ちがっ…」
「……ふふっ。なに?
ごまかしちゃって……笑えるw
あのさ……恵麻は
“癒し系のいやらし系”
っていうオトコが一番弱い生き物なんだからね?
そろそろ自覚してくれないと
困るんだけどなぁ……w
ほんと、気を付けてよ? 恵麻。」
……チュッ。
「……うるさいのはどっち?
ねぇ、あんまり……焦らさないで。」
「……はっ。上等…w」
恵麻に煽られ、
オレ達は
夢中で行為に耽った―――…。