第1章 【Forever mine:増田貴久】
「明日、撮影でしょ?
もう寝よっか。」
「うん、そろそろ寝なきゃな。
あ、恵麻ちゃん、
今日はちゃんと化粧水つけた? 」
「あ。笑」
「やっぱりー!
若い頃と同じつもりじゃ
そろそろヤバいよ?w」
「うるさいなぁ。笑
あ、そういえば……
今日アイシャドウ買ったときに
もらった試供品を使ってみよっかな。」
「試供品?」
「うん。ひさくんも使ってみる?
何かね、普通とは逆で、乳液からつけて
お肌を柔らかくしてから
化粧水つけるって言ってたよ。」
「へぇ、そうなんだ。ありがと。
…でも、アイシャドウ買うって珍しいね?
普段、つけてないよね?」
「うん。普段はラインだけね。
大学のとき『キャバ嬢みたい』
って言われてから、色味使うの止めたの。
でも、結婚式くらいはつけてみようかな?
と思ってちょっと、奮発して買っちゃった。」
「恵麻みたいな目は
やり過ぎたら派手になりすぎるもんね。
アイシャドウ…持ってきてみて?」
*
「……ほら、すごくキレイだよ。
グラデーションもさ、
やりすぎたらこわいじゃん。
恵麻はこれくらいで充分綺麗だよ。
ていうか、
これ以上し過ぎたら恵麻はダメかな。」
「すごい。。
右と左で全然違う!!
ひさくんって…メイクもできるの?!」
「特別、勉強したわけじゃないけどね。
なんとなく。やってもらったり、
やられてんの近くで見てたりしてるやつを
見よう見まねでやってみただけだけど。」
「なんか、ひさくんって…
メイクさんとかやっても一流になりそう!」
「まぁやっぱ…、センス?
あると思います!w」
「うんうん!」
「……うそ。
恵麻だからだよ?
オレ、お前が思ってるより見てるんだから。
お前のコト……。」
「…っ///」
「ほら笑、照れてないで寝るよ?
とりあえず化粧落としておいで。
オレ、先にベッドに入ってるから。」
「うん…おやすみなさい。」
「おやすみ…。」
おやすみのキスを交わして
彼は寝室へ
私は洗面所へと向かう。
この幸せに
いつか終わりが来ることは
始めから覚悟していたハズなのに―――。
「……かっこわる。
足りないんだよ、覚悟が。」
鏡の中の泣き顔の自分に
そう、
吐露した……。