第2章 郁の王子様
『あー……今日もつかれたー!!』
ぐっと体を伸ばすと、パキパキと体が鳴る。
本屋での一件のあと基地での訓練があった。
これがまたハードで…
自分の肩を揉みながら帰路につく。
「おつかれ。ふたりとも」
後ろから声をかけられ振り向くと、そこには麻子が。
『あ。麻子!麻子もおつかれ』
麻子も合流し、三人で寮に戻る。
麻「聞いたわよ。笠原、あんた ちびっこにも振られたんだって?」
郁「ちょ、柴崎―」
思わずわたしは吹き出す。
あのあと、郁が本を男の子に渡したら、
その子はなぜだかわたしの方に駆け寄ってきて“ありがとう”と言った。
そして、お礼の飴をくれた。
麻子はそのことを言っているのだろう。
『まさか、わたしんとこ来るとは思わんかったなぁ。でも、可愛かったー♡』
郁「ほんと、あたしショック」
けらけらと麻子は笑う。
麻「香って子どもにも好かれて、教官や男どもにも好かれて羨ましいわー」
『なにそれ、麻子の方が男の人にモテるやんか』
郁「だーもー!どーせ柴崎と佐々木はモテてもあたしはモテませんよーだ!!」
すねる郁を見て、なだめながらわたしと麻子は笑った。