第1章 はじまり。
「腕下げんな、笠原!!」
教官から罵声がとぶ。
郁は懸命に腕を上げる。
わたしは横目でそれを見て郁より前へ出た。
『ーーっ…はっはぁ…』
ゴールをきると、教官がわたしを見る。
篤「佐々木前より上がったな」
『…ありがとうございます』
息を整え言った後、郁がゴールになだれ込む。
そしてそのまま倒れこんだ。
『ちょっ郁、起き・・』
篤「笠原!!!誰が倒れて良いって言った!罰として腕立て!!」
郁「!!」
『ほら、言わんこっちゃない…がんばれ郁。』
郁「ちょ、佐々木―!!」
わたしは巻き込まれないように隊列を組んで座った。